地金制作に使われる道具・工具とはどんなものなのか、初心者が彫金を始めるにあたり何を揃えておくべきなのか、ボクが実際に地金で手作りアクセサリーを作るときに使う道具や工具たちを紹介します。
他にもジャンルやスキルに応じて追加しておきたい道具・工具はありますが、まずは必要最低限揃えておきたい必須の道具・工具を25アイテムピックアップします。
実際に地金から指輪を作り出す工程に沿って、どこでどんな道具が使われているのか説明していきますね。
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1地金を切り出す
シルバー925の銀線にケガキ棒を使って、作りたい指輪のサイズ(号数)の長さにケガキを入れます。そして、そのケガキ線よりもやや長めの位置を糸鋸で切っていきます。
ケガキ棒(筋彫り)
地金&WAX兼用「千枚通し」や「針タイプのスパチュラ」、「ドライバーセットに入っているニードル」でも代用できます。
ステンレス定規
地金&WAX兼用 150mm/300mm
0.5mmと1.0mmの2通りの単位で測ることができるステンレス製の定規。
長さ15cmと30cmを持っていると便利。100均のものでもOK。
すり板&クランプセット
地金&WAX兼用溝なしの①テーパー型、溝ありの②V溝型と③平溝型の3種類。
透かし模様を入れる時など溝があると作業がやりやすい。
どれを使うかは好みだが、ボクは「溝あり」を使っています。
糸鋸フレーム
地金&WAX兼用75mm/100mm/120mmなどフレームの深さが違うものがあるが、75mmが基本。
ノコ刃を付け替えれば、地金用・ワックス用と両方に対応できる。
2本用意すれば、わざわざ刃を取り替えずに使えて作業効率がUPできるぞ。
固定式のほか、ノコ刃の長さに対応できる自在式もある。
地金&WAX兼用スイス製の糸鋸フレーム(Grobet)
穴に鋸刃を挿し込むタイプなので、鋸刃の付け替えがスムーズにおこなえます。
ポリマー素材のグリップでとにかく軽く、女性には嬉しい。
値段は他の糸鋸よりもちょっとお高めだが、価格に見合っただけの価値はある。
地金用糸鋸刃
地金用鋸刃の種類は、目が細かく厚みが薄いものから、8/0、7/0、6/0、5/0、4/0、3/0、2/0、0、1、2、3、4、5、6、7、8という順に番数があります。(メーカーによっては無い番数があります。)
金属の素材や厚み、切り取るデザインによって、使う目の細さを変えていきます。
通常、シルバーや金・プラチナ・銅・真鍮を切る場合には、3/0または2/0を使用します。
透かしや曲線などの細かい細工をする場合や、ステンレスなどの硬い地金を切る場合には、6/0以降の細い番数が切りやすいです。
通常1束が12本/1グロス144本入
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2作りたい指輪のサイズ(号数)の長さに削る
ヤスリを使って、作りたい指輪(号数)の長さになるように削って整えていきます。
鉄工ヤスリ(粗目)
地金&WAX兼用TRUSCO 鉄工用ヤスリ平荒目刃長150 THI150-01
ザックリと削りたいときに便利な粗目の大きなヤスリ。
粗目なのでワックスを削りたいときにも使えます。
安価な鉄工ヤスリで研磨スキルを磨いたら、職人さんが一つ一つ丹念に仕上げた手切りヤスリにランクアップしよう。
トラスコ 鉄工用ヤスリ 半丸 中目 寸法200 THA200-02
曲面をザックリと削りたい時に便利な半丸ヤスリ。
精密ヤスリ(小)以外で、大・中の大きさのものを用意しておくとデザインによって使い分けができて便利です。
ダイヤモンドヤスリ
地金&WAX兼用細かいパーツをサクサク削りたいときに便利。
平、甲丸、丸、四角、三角のこの5種類の形を手に入れよう。
大きさも色々あるので、大・小のものを持っていれば、デザインに合わせて使い分けができて便利です。
100均のものでも十分代用できます。
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3焼きなましする
バーナーで地金を温めて急冷させて、曲げやすいように柔らかくします。これを「なます」と言います。
耐火レンガ(イソライトC1)
地金用耐熱温度約1000度の耐火レンガを設置例のように8個配置して、なましやロウ付けがおこなえる作業場所を作ります。
ロウ付け台(セラミックボード)
地金用耐火レンガの上に敷き、ロウ付け台の上に金属を置いてバーナー作業をしていきます。
ピンセット(手持ち用)
地金用ステンレス製・チタン合金などがある。
100均でも手に入れられるが、ロウ付け作業にも使うので耐熱性が高いものが良い。
プラチナのロウ付けまでこなせるロウ付け用ピンセット。
耐熱温度1300℃。
第3の手(固定用ピンセット)
地金用ステンレス製の逆ピンセットが付いていて、金属パーツを固定させながらロウ付け作業がおこなえる。
両手が使えるのでバーナーの扱いに集中でき、ロウ付け作業の効率が上がる。
2つ持っていると便利です。
ハンディーバーナー(大口)
地金用炎温度約1700℃。
全体に熱を伝えたい場合や大きくて厚みのあるなかなか熱が伝わりづらい金属にはコイツを使う。(金属のなましやロウ付けなど)
GTXやGTなど色々なタイプがあるが、細炎が出るGT-5000を選びます。
替えガスボンベはこちら
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4リング状に曲げる
酸化した地金の両端を研磨したら、芯金棒(サイズ棒)にあてがい、木槌で叩いてリング状に曲げていきます。
芯金棒
地金&WAX兼用 #1(13mm)~#30
この芯金は、リングを真円にしたり、サイズを直したりするのに使います。
サイズ入りなので、号数を確認しながら成形できるので便利ですよ。
これらの3つのサイズの芯金棒とミニ芯金を用意すれば、丸カン・石枠・指輪とすべての大きさに対応できます。
木槌
地金用国内の木材の中ではもっとも硬いと言われる樫の木を使用した木槌です。
金槌のように地金表面のデザインを凹ませたりキズつけることなく、そのデザインの形を維持したまま、叩いて曲げたりすることができます。
打面のサイズは1寸2分(36mm)のものが扱いやすい。
アンビル
地金用平面部分は金床として、丸の部分では地金を丸く曲げたり、穴を利用すればリベットも作れる万能型アンビルです。
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5ロウ付けする
接合面にロウ材を置いて、バーナーで溶かし込んでくっつける。この作業を「ロウ付け」と呼びます。
ハンディーバーナー(小口)
地金用炎温度約1300℃。
ピンポイントで熱を伝えたい場合や、小さくて細いすぐに熱が伝わるような金属のロウ付けにはコイツを使う。
空気調節により800℃~1300℃に調節可能。微調整ネジ搭載。
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ディクセル(ピックリングコンパウンド)
地金用コップ1杯(約180cc)の水に対して大さじ4杯ほど入れて、ディクセル水を作ります。
そして、酸化したシルバーの表面をこの水溶液に浸し、酸洗いします。(酸洗いすると地金表面が白くなります。)
昔は酸洗いに希硫酸を使っていたのですが劇薬ということもあり、お子さまなどがいる家庭を作業場として使う方の安全性を考慮に入れて、ここではディクセルを推奨しています。
フラックス
地金用フラックスは、酸化抑止としてロウ付けする金属に塗るためのものです。
火を当てたシルバーは酸素に触れると、表面に酸化皮膜ができます。
焦げついたように黒くなるのがそれです。
この状態になってしまうとロウが溶けることが出来ず、終いにはロウ自体も黒く酸化してしまいます。
そこで、ロウを溶けやすくするためにフラックスを塗っておくのです。
フラックスには液体やペースト状などの種類があります。
これらを塗って、その水分を利用してロウを地金にくっつけて(置きロウ)、バーナーで熱を加えてロウを溶かしていくのですが、急加熱やバーナーの熱風などで置いたロウが動いたり落ちたりする場合があります。
そうならないために、フラックスは粘度のあるペースト状のものを使い、自然乾燥させてから始めたり、遠くから徐々に火を当てたりして作業を進めていきます。
ロウ材(銀ロウ)
地金用 5分ロウ
ロウ切りばさみ
地金用ロウ材を切るための金切りばさみ。
100均工具コーナーにあるハサミでも代用できることはできる。
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6研磨して仕上げる
ロウ付けした指輪をもう一度芯金棒に通し、木槌で叩いて真円に成形したら、ペーパーロールサンダーでロウ付け面を含め、リング全体を磨いていきます。リング側面を整える場合には、ペーパーヤスリを敷いた上で研磨するといいですよ。
ペーパーロールサンダー
地金用リューターにつける研磨用先端工具。
紙ヤスリが軸に巻きつけてあり、削れなくなってきたらペーパーを1周ぐるっと剥いて使います。
#120・#240・#320・#400・#600・#800・#1000と番手が大きくなるほど、粗さは細かくなっていきます。
目が粗いもので形の成形をおこない、目の細かいもので小キズを消して鏡面仕上げの下仕上げまですすめていきます。
ペーパーヤスリ
地金&WAX兼用地金研磨の時はそのままで、WAX研磨の時は水をつけて磨く時もあります。
#180/#340/#320/#400/#600/#800/#1000/#1200/#1500/#2000(番手の数字が小さいほど目が粗い)
地金&WAXと両方で使うので、#180、#600、#1000、#1500、#2000あたりを用意しとくと良いぞ。
セーム皮豆バフ&マンドレール(軸棒)
地金用セーム皮で出来た豆バフです。サイズ:Φ20
マンドレール(軸棒)にセットして、バフ粉(研磨剤)を含ませて鏡面仕上げしていきます。
豆バフやラジアルブリッスルディスクなどのホイール型工具をリューターに取り付けて使用する固定補助ビット。
バフ粉(研磨剤)
地金用名称:BSポリアート7000/ポリアートゴールデン
銀・ゴールド・プラチナとオールマイティに使える超光沢仕上げ用研磨剤です。
リューター
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7完成
今回は地金制作で使う道具・工具をメインにしたお話なので、指輪の工程についてはザックリとしか説明されていません。
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詳しくはこちらの記事を読んでみて下さい。
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