この体験の書では、ジュエリーデザイナーがどんなふうに指輪を作っていくのかを学べるようになっています。
その中でも特に『ここを学んでほしい!』というものが2つあります!
それは・・・
- ロストワックス製法でアクセサリーが作られていくその製作工程(作業の流れ)を知ること。
- どのような工具が、どこで、どんなふうに使われているのかを知ること。
揃えてもらった道具を使い、プロが実際に行っている指輪の製作工程を体感してみてくださいね。
リングデザインを決める
まずはデザインガイドを見て、作りたいデザインを決めよう。
お店で売られているポピュラーなリングたちをピックアップしましたので、その中からお好きなデザインを選んでみてください。
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リングデザインガイドで指輪のデザインを決めよう!
デザインを決めるまでの流れ はじめて指輪を作るという方にも分かるように、デザインガイドを用意してみました。 このデザインガイドでは、「4つのリングデザイン」「4つの断面形状」「3つの表面加工」「2つの ...
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ワックスで作る指輪の原型制作の流れ
デザインガイドの中から今回は「V字の凸リング」を例に作業工程の流れを見ていくことにしましょう。
紹介する映像は2部構成になっています。
1部は、それぞれのデザインにする前段階の叩き台リングを作るまでの作業工程映像です。
これが、ワックスで指輪を作る基本作業となります。
そして2部では、その叩き台リングからデザインリングを作り出していく映像となります。
今回はV字型の凸リングのワックス原型が出来上がるまでの作業工程となります。(選んだデザインによって工程は変わります)
作業の流れを確認しながら、どのような工具が、どの作業箇所で、どんなふうに使われているのかを学んでください。
【1部】叩き台リングを作る
この映像では音声が流れます。音量を確認してからご視聴ください。
動画の中で印台型のチューブワックスを使用していますが、実際の作業では真円型をお使いください。
サイズ棒での正しいリングサイズの読み方を知ろう
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【永久保存版】サイズ棒・リングゲージ取扱説明書
リングゲージをお使いになるまえに ご購入いただいた測定セットの中に沢山のリングが束ねてある道具「リングゲージ」があります。 指のサイズを測るための道具なのですが、この道具を使う場合には、ご使用前に以下 ...
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1部の映像を振り返る
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1切り出す幅を決めて、切り出す
デザインに必要な幅を決めたら、スチール定規で測り、スプリングコンパスまたはカニコンパスでワックスの全周に渡り、けがき線(下書き線のことを言う)を入れます。
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2ワックスを切り出す
机にスリ板を固定したら、糸鋸フレームにワックス用ノコ刃を取り付け、けがき線を目安にワックスを切り出します。
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3リングサイズを整える
ワックスの穴はもとから8号サイズなので、8号以上21号まではNo.H37 ワックスリーマーを使い、21号以上は、No.H141 ワックスリーマー太径を使い、8号未満は穴なしワックスに穴を開けてから、NoH149 ワックスリーマー細径を使って希望の号数まで削ります。
サイズ棒で号数を確認しながら削っていかないと、削り過ぎてしまうぞ。
リーマーがない方はこの手法で削ろう!
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ワックスリーマーの代用はこの方法
ワックスリングのサイズを大きくする時には、通常はワックスリーマーを使って削っていくと早くてキレイに削れる。 しかし、今回はそのリーマーを持っていない時のリング穴をキレイに削る方法を紹介します。 リーマ ...
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4厚みを削り出す
粗目のヤスリを使って、希望の厚みになるまで削っていく。
造形的なリングなどは見栄えを変えずに重さを軽くするために、指輪の裏側を削ります。 これを”裏抜き”と言いますが、このときに指輪の厚みを測るためにスライディングゲージを使います。
【2部】デザインリングに仕上げる
この映像では音声が流れます。音量を確認してからご視聴ください。
2部の映像を振り返る
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5デザインをけがく
油性ペン ⇒ スプリングコンパスやけがき棒を使って、ワックスにデザインをけがいていきます。
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6デザインを削り出す
精密ヤスリを使って、デザインの輪郭に削り出していく。デザインに合わせてヤスリの形状を使い分けていきます。
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7デザインを整えていく
スパチュラを使って、細かな部分のデザインを整えていきます。デザインに合わせて、スパチュラの形状を使い分けます。
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8表面をきれいに磨く
スポンジ研磨材→耐水ペーパーの順番で、ワックスの表面を磨いていきます。
#1000以上の耐水ペーパーに、お水を含ませながら磨くと滑らかな表面に磨けます。
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9表面をなめらかに仕上げる
綿棒に、ワックスフィニッシュを塗って、表面をなめらかに仕上げることができますが、昔ながらの方法では、艶出しにストッキングを使って磨いています。
細かなキズやヤスリ目などが残っていたりすると、それがそのままキャストされてしまいます。
キャスト後の貴金属となったキズは、消すのにとても労力がかかる作業なのです。
ですので、ワックスの時点で余計なキズをしっかりと消しておけば、キャスト後の作業軽減につながります。
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10ワックス原型の完成
こうしてワックスの原型が完成していきます。
次にこの原型を金属にするためにキャストするんですが、その前にこのワックス原型がシルバー925・18金・プラチナ900など、キャストする素材になった場合に、どのくらいの重さになるのかを調べておきます。
その重さを割り出すために、デジタルスケールでワックスの重さを測るのです。
デザインに影響しない程度にワックスをギリギリまで削り出すことで、金属の使用する量が減り、コストダウンが図れるのです。
キャストする(鋳造)
出来上がったワックスの原型を、貴金属に変える作業の流れとなります。
詳しい工程を忘れてしまった人はこちらでチェック。
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ロストワックス製法のすべてがわかる!ロストワックス製法皆伝の書
ワックスでのアクセサリーの作り方とは? ろうそくのような硬さのワックスという素材を切り出したら、「削ったり」「彫ったり」「くっつけたり」「盛り付けたり」して、形を整えていきます。 地金と大きく違う点は ...
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さて、この一連のロストワックス製法は、あなた自身ですべて作業することができます。
しかし、ロストワックスの工程を見てもらったとおり、特に鋳造の工程は色々と機材が必要となります。
個人で始めるには、機材を揃えるまとまった費用が必要であったり、機材の設置場所を確保したり、機材の操作方法及びうまく鋳造できるようになるまでの試用期間などを考えると、鋳造を個人一人でやっていくのはあまり賢いやり方とは言えない。
1から自分が手がけるアクセサリーを作りたい!というこだわりがあるのなら別だが、あくまであなたはアクセサリーを作るクリエイターになることが第一目的。
ワックスであなたらしい独自のデザインを生み出していく作業に、まずは全パワーを注いでいけるといいですね。
時間には限りがあります。
キャストや量産の複製作業は、その道のプロにお任せすればいい。
そこに費やす時間をお金で買ったと思って、その買った貴重な時間をあなただけしか出来ないことに使った方が賢い選択でしょう。
仕上げ研磨する
キャストしたアクセサリーを最後に仕上げ研磨して完成となります。
仕上げ方法には、様々なパターンがあり、そのデザインに合わせた仕上げ方法を選択します。
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仕上げの工程と揃えておきたい仕上げ用道具
「地金から作り上げたアクセサリー」や「ワックスから作り上げたキャスト吹き上がり品」を下地研磨処理をしたのち、そのアクセサリーの雰囲気に合う仕上げ研磨を選択して仕上げていきます。 ここでは仕上げの基本的 ...
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お疲れさまでした
これがロストワックス製法を使って作り出した指輪が、店頭やネットショップに並ぶまでの流れとなります。
あなたがクリエイターとしてロストワックス製法でアクセサリーを作るならば、ワックス原型制作と、キャスト後の仕上げ研磨に力を注ぎましょう!
キャストや量産は効率やクオリティなどを考えると自身でやるよりも業者にお任せした方が得策ですよ。
指輪のワックス原型を作るために使用した道具
使用材料
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ハードワックス【チューブ/真円型】(緑)
必要工具
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半丸ヤスリ【粗目】(大または中)
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ステンレス定規
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スプリングコンパスまたはカニコンパス
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糸鋸フレーム
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糸鋸刃【WAX用】
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すり板&クランプ
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リングサイズ棒
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ワックスリーマー
(なければ、サイズ棒に耐水ペーパーヤスリを巻いて代用) -
けがき棒(スパチュラ針タイプでも代用可)または
千枚通し(100均にあり) -
スパチュラ【平刀/針】
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精密ヤスリ各種【三角/半丸】
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スポンジ研磨材(100均のメラニンスポンジでもOK)
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耐水ペーパーヤスリ(#600/#1000)
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ストッキング(ワックスフィニッシュでも可)
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刷毛(100均に売っているものでOK)
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マジックペン