ワックス原型制作でデザインを作りこんでいく時に、絶対に必要となってくる工具がスパチュラだ。
しかし先端の種類が多すぎて、どのスパチュラをどんな時に使っていいのかイマイチよく分からない。
そんなあなたに今回、ボクが仕事で使っているベスト3の先端デザインをご紹介しようと思う。
こいつたちでワックスを彫れば、デザインの作りやすさや作業効率、そしてクオリティーを格段とアップできるはずです。
突然ですが問題です!
さて、こちらは実際に売られているスパチュラセットですが、このスパチュラセットの中で一番使用頻度の高いカタチをしたスパチュラがどれか分かりますか?
答えから先に言うと・・・
「この中にはない!」
というか売っているのを見たことがない!
なぜかは分かりませんが売られていないんじゃ仕方がない、そういう時は作り出すしかない。
代用できそうな既成のカタチのスパチュラを見つけて、それを改良する。
これが答えです。
究極のスパチュラBEST3
平刀タイプ
デザインの表面をキレイに平面的にならしたり、凹のエッジを出したりと、「削ぎ落とし」「削り出し」「表面磨き」「彫り込み」など、当てる角度を変えればほとんどの形に対応してしまう万能型のスパチュラです。
デザインの8割以上をこれ1つで彫ってしまうほどの使用頻度の高いボクのマストアイテムです。
なのにこの平刀形のスパチュラだけは、なぜか販売されていないんですよね。
カスタマイズポイント
正面の先端の角度が90度。
側面は先端にいくほど薄く鋭利になるように削る。
耳かきタイプ
へこみなどの湾曲部分を整えていくときなどに便利です。
他にも指輪の裏側を彫ったり、ペンダントの裏側を彫ったりするときにも使います。
ちなみにこの作業を” 裏抜き ”と言います。
槌目模様などを入れたりするときなどにも使います。
カスタマイズポイント
側面を先端にいくほど薄く鋭利になるように削る。
針タイプ
細かい模様入れや、刻印などの文字やロゴ入れに使います。
デザインのライン取りや下書きなどのけがき線を入れる時にも便利です。
カレッジリングなどの文字もこれで輪郭取りしていきます。
千枚通でも代用できます。
カスタマイズポイント
先端にいくほど細く鋭利になるように削る。
すべてのスパチュラをカスタマイズする
購入したスパチュラはそのまま使わないで、必ず3タイプにカスタマイズしましょう。
カタチとして無いものは先端を改良して作り出し、カタチとしてあるものは彫り味を良くするための加工を施します。
力を加えないでも軽いタッチで削れるように、すべての刃を鋭利に磨いていきます。
これこそが、職人の工具です!
そして、この3タイプの形のものを、大きいサイズのものを彫る用、小さいサイズのものを彫る用として、3タイプとも大小各1本ずつは作っておくと良いよ。
これで、デザインの大きさによって使い分けができて良いものが彫れるからね。
スパチュラの加工方法
加工方法はグラインダーを使うか使わないかの2パターンに分かれます。
グラインダー有り
グラインダーを使った3種のスパチュラのカスタマイズ方法の動画です。
この映像では一部、音が流れます。音量を確認してからご視聴ください。
グラインダー無し
グラインダーがあれば作業が楽ですが、使わなくても時間をかければ作ることができます。
鉄ヤスリで粗目⇒細目と削り、そして耐水ペーパーで1000番⇒きれいにするなら2000番で仕上げる。
または、
耐水ペーパーのみならば、100番以下からはじめて⇒400番⇒1000番⇒きれいにするなら2000番と段階を踏んで、仕上げてほしい。
試し彫り
平刀タイプ
ワックスの上をスパチュラの角度を伏せめにして、軽く押し当てながら伏せた方向にスライドさせていく。
木材をカンナで削った時に出るカンナ屑のように、ワックスの薄皮が出来るぐらいの彫りの鋭さが出ていればOK!
耳かきタイプ
軽く押し当て、ワックスをすくいとるように動かす。
カリカリとこするだけで、ワックスが彫れるのが鋭利さの目安。
彫ったワックス面がキレイに湾曲して凹んでいればOK!
針タイプ
ワックスの上で先端を軽く突き刺し、スパチュラを90度に立てながら彫っていく。
そして、彫った線の太さ具合をチェックする。
なので、自由に思うがままに彫ってもらって構わない。
今回紹介したスパチュラ工具も使っていくうちにもっとこうした方がいいのでは?とか、こんな彫り方見つけた!など、経験とともにいろいろな彫り方を発見できるはずだ。