相棒のリューターを見つける秘伝之書

手作りアクセサリーを作りたい!ならば、地金やワックスを元に金属となるアクセサリーを作ることになる。

それぞれの工程は、今回は抜粋するが、その工程には必ず研磨作業がある。

そこでリューター(マイクログラインダー)は大いに活躍する工具となるのだ。

昔は、地道にヤスリだけでデザインを仕上げていた時代もあったが、今は、電動ルーターがないと仕事にならないほど、研磨する上でとても重要なツールとなった。

しかし、リューター本体だけ持っていても何の役にも立たない。

使い方はというと、リューター本体につながっているハンドピースに、研磨用途に合わせたいろいろな先端工具(リュータービット)を取り付けて作業をしていくのだ。

どんな先端ビットを使うのかというと・・・

おおっと!今回は彫金で使えるリューターの選び方が主題なので、また違う機会にお話しようかな。

それでは、お待ちかねの本題に入りましょう。

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プロのリューター(マイクログラインダー)選び

仕事としてプロがリューターを選ぶ時には、当然ですが、価格よりもまずは、性能・機能をチェックします。

モノによっては、仕事で使うには不十分な性能・機能しかないリューターもあるからです。

そんなこと言っても、どんな性能や機能があるリューターがいいのかなんて分からないですよね。

そこで今回は、数あるリューターの中から仕事として十分に使えるリューターとはどういうものなのか、その必須となる条件をお教えします。

 

彫金仕様としておすすめするリューター選びの7つのポイント

まずは、欲しいと思うリューターに、これから挙げる7つの条件が備わっているかチェックします。

  1. トルクがあるもの

  2. フィードバック機能があるもの

  3. 回転速度は30,000min⁻¹/rpm以上

  4. 無段変速スピードコントロール機能

  5. バリアブルフットコントローラー付き

  6. コレットチャックで固定するタイプのもの

  7. 過負荷時の自動停止

それではひとつずつ、なぜこの条件が必要なのか解説していきましょう。

絶対におさえるべき機能・性能

トルクがあるもの

回転させる馬力(トルク)がなければ、金属など硬いものを削る時に強く負荷をかけると回転が弱くなってしまいます。

トルクがあるリューターの目安だが、金属に穴をスムーズに開けられるだけのトルクがあるかどうかだ。

その最低必要トルクのボーダーラインは、2.74N.cm(280gf.cm)

このトルク以上のものを選ぶようにしよう。

高級機ほど、低回転で地金を研磨・切削してもトルクが下がらず安定している。

フィードバック機能があるもの

フィードバック機能とは、低回転で負荷をかけた時でもトルクが下がらないように自動的に調節してくれる機能だ。

トルクがなく、フィードバック機能がないものは、強く押し当てると回転が止ってしまうのだ。

この機能が無いものは、地金を扱うアクセサリー作りには使えない。

回転速度は30,000min⁻¹(30,000rpm)以上

鏡面のピカピカ仕上げにはバフがけという作業をします。

仕上げにバフ粉を付けたバフを20,000min⁻¹以上回して、デザインに押し当てて負荷を与えてピカピカに磨いていきます。

回転数がないものは、キズが消しづらく、鏡面になりづらい。

min⁻¹とrpmはどちらも、一分間に何回転するのかを表す単位です。
30,000min⁻¹/rpm=1分間に30,000回転する

 

地金製作から仕上げ作業までこなすにあたり、
トルクがあって、フィードバック機能が付いていて、30,000回転以上出るものが必須となる。
アクセサリーを作る上で絶対におさえなければいけない性能・機能である。

 

おさえておくべき機能・性能

こちらは作業を効率よく進めていくために、おさえておくべき機能・性能である。

仕事として使用するのであれば、当然必要になってくるものです。

無段変速スピードコントロール機能

デザインの形状やキズの深さなどに合わせて強く削ったりやさしく削ったりと、回転速度を無段階に自由自在に変えられる機能である。

繊細な切削・研磨作業ができるため、この機能のあるなしで仕上がりの良し悪しに大きな影響を与える。

バリアブルフットコントローラーと同時に使用することで、さらに繊細な作業を効率よくこなすことができる。

バリアブルフットコントローラー付き

せっかく無段変速スピードコントロール機能がついていても、回転速度の強弱を変えるのにわざわざ作業を中断して、手で調節するのは非常に効率が悪い。

このフットコントローラーがあれば、作業を中断することなく、車のアクセルを踏むように足でリューターの回転速度を自由自在に調節できるのだ。

コレットチャックで固定するタイプのもの

ハンドピースのタイプには、

  • 軸穴にφ2.35mm用の固定補助アダプターパーツ(スリーブコレット)を入れたりと、ぴったりと軸を合わせて固定できるコレットチャックタイプのものと、
  • ビットを軸穴に差し込んで固定するようなドリルチャックや固定チャックタイプのものがある。

コレットチャック式のハンドピース

先端ビットの経がリューターの軸穴にぴったりと差し込めて固定できるので、芯ブレが少なく地金に石留めの穴を開けるなどの繊細な作業を安心しておこなえる。高価なリューターはほぼこのタイプだ。

ドリルチャックや固定チャックタイプ

芯がブレやすい。安価なものだと使っているうちにリューターの回転の振動でチャックが緩んでしまうものもある。

過負荷時の自動停止

バフがけ・研磨・穴開けなどで過度な負荷が掛かる作業が多いと、本体自体までもが熱をもって、それが原因で終いには故障してしまう恐れがあります。

そうならないようにと、本体に負担が掛かる前に自動で停止したりブザーで知らせてくれる機能が付いたものがあるのです。

 

ここまでに上げた7つの機能・性能を備えたリューターを準備しましょう。
このあとに紹介する機能・性能は、あれば便利なものです。
あなたがこれは便利だなって思うものがあれば、その機能・性能があるものを選択すると良いでしょう。

 

あれば便利な機能・性能

モータータイプ

従来のブラシモーターの他に、最近ではブラシレスモーターが出ている。

ブラシモーター
電流を流す「カーボンブラシ」と電流を受け取る「コンミテーター」が擦れる際に削れたカーボンブラシの摩耗粉と摩擦熱が発生します。
摩耗粉や外からの切削粉などの侵入によってモータ内部のベアリングの寿命が短くなります。
ブラシレスモーター
カーボンブラシを必要としないため、摩耗粉、摩擦熱が生じません。
そのため摩擦熱を放熱するためにスリットが必要なく、外からの切削粉の侵入がなくなることでモータ内部のベアリングの寿命が長くなります。
"オサダメディカルより"

カーボンブラシは使っていくと擦り減っていくので交換作業が必要となる。
(とはいえ、個人が作るペースで使う分には年単位での交換頻度なのであまり気にする必要はない)

ブラシレスモーターは、ブラシがないので交換する必要がなくメンテナンスフリー。
しかも、回転音・振動が起きにくい。
(ただし、カーボンブラシのものに比べ、価格帯が高めとなっています)

正転・逆転切り替え可能

ドリルが地金に引っかかってしまった時など、回転方向を変えて抜いたりするときに使います。

オートクルーズ機能

フットコントローラーでの作業で、一定の回転速度に固定できる機能。
同じ作業を連続して行うときに、フットペダルをずっと踏んでいる必要がないので、足の疲れを軽減できる。

回転速度メモリー機能

使用頻度の高い回転速度を予めメモリーできる機能。

 

プロ仕様のリューターの条件とは?

1~7の7つの条件が揃っているリューターを選べば、ワックス原型の制作、地金加工から仕上げまで、すべてをこなせます。

あなたがゆくゆくは商売としてのアクセサリー作りに取り組みたいと考えているのであれば、中途半端な性能や機能のものをとりあえず買って、あとでまた買い換えるよりは、

価格もそれなりのものとなりますが、未来を見据えた投資と考え、はじめからプロ用として通用するリューターを手に入れたほうが賢い選択だとボクは思いますね。

今回上げた条件を満たしたリューターたちをピックアップして比較できる記事を書きました。

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ちなみに、ボクがもう10年以上お世話になっている相棒。

生産が中止されてしまいました。ブラシレスモータータイプの後継機が登場!

 

趣味レベルのホビールーターを手に入れるなら

性能や機能には劣るが、そこそこ趣味レベルでアクセサリーが作れれば満足というならば、鏡面の研磨もこなせるこの4つの機能さえ押さえておけば、とりあえず使える。

  1. フィードバック機能があるもの

  2. 回転速度は30,000min⁻¹/rpm出せるもの

  3. スピードコントロール機能がついているもの

  4. ハンドピースの軸穴がφ2.35mm(2.34mm)であること

それ以外の機能は、無くても研磨するのに支障がないので外しました。

ワックスの原型制作だけなら

今すぐプロ用リューターを手に入れる資金は無いけど、すぐにワックスを削りたい!ってあなたへ。

ホビールーターとして売られているダイソーのミニルーターでもいけます!

地金加工用としては、使えませんけどね。

実験動画を撮ったのでご覧ください。

ワックス研磨の実験動画はこちら

地金研磨の実験動画はこちら

これで押さえどころが分かったかと思います。

ぜひ、あなた好みのリューターを見つけてみてくださいね。

 

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