ワックスから型用の原型を作る場合(3収縮)
出来上がった複製品が3回収縮することを考えて、ワックス原型を大きめに作る。
ワックス原型からゴム型を作り複製したものは、1回目のキャストで収縮 ⇒ ゴム型から複製する時に収縮 ⇒ 2回目のキャストで収縮と、3度縮むことになります。
特に、ゴム型から複製する時が一番縮みます。
型用原型のキャスト【1収縮】
ゴム型から複製【2収縮】
複製品のキャスト【3収縮】
型取りを考えているワックス原型で、例えば石穴の大きさや指輪の号数などサイズの指定があるものは縮むことを想定した大きさで作りましょう。
- サイズが大きく厚みが厚いものほど縮みは大きくなります。
- 線状よりも平面状のものの方が縮みます。
- 形状やサイズによりますが、リングのワックスなら約1号ほど縮むと考えてください。
作るデザインや使用する金属、その外注先の加工法によっても収縮率が変わってくるため、その外注先で色々と作って感覚で覚えていくしかありません。
外注先が決まったら、形状や大きさの違うワックス原型を作ってあらかじめ測っておき、上がってきた複製品をそれぞれ測ってみて、その収縮率の差を調べてデータ取りするってのもありです。
もしくは納期の時間に余裕があれば、一度型用原型のキャスト吹き上がり品を一旦手元に戻し、リングのサイズや石枠の大きさの確認や微調整をしたのち、再度、外注に型作成をお願いするという手もあります。
ワックスから型用原型を作る場合の厚みについて
ワックスから型用の原型を作る場合は、
厚み1.0mmがキャスト不良のボーダーラインになります。
これよりも薄すぎる・細すぎると金属がうまく流れず、複製品にキャスト不良が出てしまう可能性が高くなります。
地金から型用の原型を作る場合(2収縮)
出来上がった複製品が2回収縮することを考えて、地金原型を大きめに作る。
地金から直接作った原型からゴム型を作り複製するので、ゴム型から複製する時に収縮 ⇒ キャストで収縮と2度縮むことになります。
ゴム型から複製【1収縮】
複製品のキャスト【2収縮】
地金から型用原型を作る場合の厚みについて
地金から型用の原型を作る場合は、厚み0.7mmがキャスト不良のボーダーラインになります。
これよりも薄すぎる・細すぎると金属がうまく流れず、複製品にキャスト不良が出てしまう可能性が高くなります。
ワックスをキャストする場合(1収縮)
1収縮なので、ワックス原型は気持ち大きめに作る。
ワックス原型⇒ キャストと、 1度縮むことになります。
キャスト収縮なので大きく縮むこともないため、ワックス原型の石枠やリングサイズなどは気持ち大きめに作っておけば良い。
キャストのみ【1収縮】
ワックス原型をキャストする場合の厚みについて
ワックス原型をキャストするということは、そのままそれが作品・商品になります。
キャスト収縮が1回だけなので、大きく縮むことはありません。
厚みは、作りたい厚さよりもほんの少し厚め(大きめ)に作っておくと良いでしょう。
量産できる形状について
量産できる形状
ゴム型にワックスを流し込み、そのワックスを取り外して量産していくため、ゴム型から抜ける形状のデザインでなければならない。
問題
この中でキャストできない形状の原型はどれでしょう?(複数回答可)
この下の画像がヒントです。
量産できない形状
答えはこのページの最後にあります。
抜けない形状のものを型取りしたい場合
抜けない形状のものを型取りしたい場合は、抜ける形状になるようにパーツを分解した状態でキャストして原型を作り、それぞれ型取りしましょう。
例えば、上の画像のような球体で中を空洞にして仕上げたいのなら、半分に分けてキャストした原型で型を作り、それぞれキャストしたもの同士を最後にロウ付けして仕上げます。
「キャストのみ」はどんな形状でもOK
作ったワックス原型をそのままキャストだけする場合は、どんな形状のものでもキャストができます。
シルバー・ゴールド・プラチナ・銅・真鍮と、鋳型に流せるものならどの金属でもOKです。
ただし、鋳型を壊して取り出すため1回だけ(1つだけ)しか作れませんのでご注意を。
型用で使ったシルバー原型は、ゴム型を取った後どうすればいいのか?
考え方としては、その型を取ったアクセサリーを今後どうしていきたいかで決めるといいでしょう。
定番商品として売りたい
作ったゴム型から何度もキャストして量産していくことを想定している場合、その作ったゴム型は、使用頻度・日数・保管状況などによりだんだんと劣化を起こしていきます。
のちに再度ゴム型を作り直すための予備として、シルバー原型は大切に保管しておくのが一般的です。
限定品または1点ものとして売りたい
例えば、◯年クリスマス限定商品などその期間内でしか販売しないような商品を作る場合には、シルバー原型自体も仕上げ研磨して商品として販売してしまうこともできる。
問題の答えは、③と④
ちなみに⑤は、ゴムの弾力性でこの画像ぐらいの入り口と中の大きさの差なら抜くことが出来るのだ。