持ち方には、「ペンを握るように持つ持ち方」と「リューターを親指全体で伏せ込むように握る持ち方」の2パターンがあり、それぞれ研磨するデザインに合わせて持ち方を変えていきます。
持ち方を使い分けよう!
短期集中で繊細研磨!細かなデザイン部分はこの持ち方で
ペンを握るように持つ持ち方(横持ち)
ペンで字を書くときのようにリューターが横になった状態で研磨するので「横持ち」と名付けました。
普段持ち慣れた持ち方なので扱いやすく、細かなデザインを磨くなど目線の高さで研磨したいときに使うと良い。
ただし、凹凸のあるデザインや高速回転の研磨のときには、リューターの回転に負けて持ち手がブレてしまうのでしっかりと握って磨いていく必要がある。
ブレないようにと持ち手に力が入るので、長時間の研磨作業には向かない持ち方である。
長い時間の安定研磨!大まかなデザイン部分はこの持ち方で
リューターを親指全体で伏せ込むように握る持ち方(縦持ち)
リューターを親指全体で伏せ込み、研磨対象物に対してリューターを縦に向けて研磨するので「縦持ち」と名付けました。
基本、このリューターの持ち方のまま机に手を固定して磨いていくので、長い時間の研磨作業でも疲れづらいです。
さらにリューターの回転に負けない安定した研磨ができるので、デザイン全体の大まかな部分はこちらの持ち方を使います。
たとえば、湯口取りからキズ消し・デザインの形成・バフがけなど、ブレずに強く押し当てて研磨したいときなどに最適です。
慣れないうちは研磨しづらいと思いますが、慣れてくるとこちらの持ち方の方が断然、作業効率が良くなります。
ボクのお師匠さん直伝の持ち方です。
リューターの持ち方と研磨方法
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時短で下地研磨できる方法とは?
棒ヤスリでザックリとデザインを荒削りした後は、下地研磨作業です。
下地研磨とは、糸鋸で切り取ったり棒ヤスリで削った大まかなデザインの輪郭や形状を、きっちりと寸法通りに整えていく研磨作業です。
その下地研磨でどんな工具を使うかによって、デザインの精度や作業時間が変わってくるのです。
じっくりと時間をかけて研磨すれば、誰でもある程度の仕上がりまでは持っていくことができるのですが、それではプロの仕事としては失格なんです。
求められた精度までにいかに早く仕上げていけるかも、重要な課題なんですね。
なので個々の彫金師たちは、長年の経験から時短で下地研磨できるそれぞれの研磨方法を持っているのです。
今回は、ボクがお世話になった工房で実際に仕事で使っていた『時短で下地研磨できる最強の切削工具の組み合わせ』を紹介したいと思います。
リューターでの研磨が一番早い!
デザインを成形するために使う工具としては、棒ヤスリ・ペーパーヤスリ・リューターの先端ビットがあります。
この中で一番、疲れずに安定した切削能力で研磨し続けられる工具は、やはり電動で動かせるリューターの先端ビットですよね。
とは言っても、先端ビットには色々なタイプのものが出ているんです。
一体、どんな先端ビットを使えば、早くそしてキレイに下地研磨できるのでしょうか?
下地研磨に良く使う先端ビットとは?
デザインの輪郭と形状を整える下地研磨の基本ビット!
下地研磨はまずはこれ!ペーパーロールサンダー
地金用リューターにつける研磨用先端工具。
紙ヤスリが軸に巻きつけてあり、削れなくなってきたらペーパーを1周ぐるっと剥いて使います。
#120・#240・#320・#400・#600・#800・#1000と番手が大きくなるほど、粗さは細かくなっていきます。
目が粗いもので形の成形をおこない、目の細かいもので小キズを消して鏡面仕上げの下仕上げまですすめていきます。
ペーパーロールサンダーの最強の組み合わせは?
糸鋸や棒ヤスリで大まかに整えた輪郭や形状は、ペーパーロールサンダー240番(以降、”240番”と呼びます。)できっちりと寸法通りに研磨していきます。
そして、その240番の研磨キズを、ペーパーロールサンダー1000番(以降、”1000番”と呼びます。)でしっかりと研磨して、バフがけできる下地を作ります。
これが最も早くキレイに下地研磨できる番手の組み合わせです。
240番と1000番での研磨の目安はこちらの動画を参考にしてください。
ペーパーロールサンダーを使った下地研磨
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ペーパーロールサンダーでは届かない箇所のお助けビット
ペーパーロールサンダーでは届かない箇所の研磨は、以下の先端ビットたちを使って研磨していきます。
荒削りはコレにお任せ!ダイヤモンドビット
地金用工業用ダイヤモンドを散りばめたリューター用先端ビット。
軸径が2.35mmと3.0mm用があり、2.35mmを選ぼう。
円柱・円錐・球・針などの様々な形や大きさのものが揃っている多形状セットを手に入れよう。
ザラザラの表面研磨に仕上げることができます。
細かなところに行き届く!シリコンポイント
地金用形は大きく分けるとUFO型と砲弾型の2種類となり、それぞれ大きさ・厚みの違うものがあります。
凹凸のあるデザイン部分の隙間やペーパーロールサンダーで届かないような箇所を磨く時に使います。
5色の色分けによってシリコンの硬さや粗さが違っています。
一般的には、茶色で形を整えたところを、最後に青緑色(水色)で仕上げるといった感じで使用します。
色 | 硬さ | 粗さ |
濃いグレー | 硬い | 粗粒 |
ワインレッド | 硬い | 細粒 |
薄いグレー | 中間 | 細粒 |
茶色 | 柔らかい | 細粒 |
青緑色(水色) | 柔らかい | 微粒 |
ピンポイントに研磨!セラミックスティック
地金用XEBEC(ジーベック)ポリッシュスティック #1200 赤 2.35φ
XEBEC(ジーベック)ポリッシュスティック #1000 白 2.35φ
XEBEC(ジーベック)ポリッシュスティック #800 青 2.35φ
XEBEC(ジーベック)ポリッシュスティック #600 黒 2.35φ
XEBEC(ジーベック)ポリッシュスティック #400 オレンジ 2.35φ
XEBEC(ジーベック)ポリッシュスティック #300 茶 2.35φ
赤:#1200/白:#1000/青:#800/黒:#600/オレンジ:#400/赤茶:#300/灰色:#220
細かなデザインなどの研磨に重宝するリューター用先端ビットです。発熱に強く、折れない。
ダイヤモンド砥石やペーパーヤスリなどで先端を加工して使用します。
軸径が2.35φと3.05φがあるので気をつけよう。
細かな部分を繊細に!ラジアルブリッスルディスク
地金用適度な柔軟性により凹凸部分の研磨に能力を発揮します。
ペーパーロールサンダーでは届かないような角隅部分や狭い箇所の研磨、バリ取りにはこれ!
#80⇒#220⇒#400⇒#1000⇒#2500⇒#5000の順番で磨いていくと鏡面まで仕上げられます。
マンドレール(軸棒)に、必要に応じて1枚もしくは数枚重ねたりと、ディスクの枚数を自由に付け替えて使用します。
#80 | 粗仕上げ | |
#220 | 粗梨地 | |
#400 | きめ細やかな梨地 | |
#1000 | 中仕上げ | |
#2500 | 仕上げ | |
#5000 | 鏡面仕上げ |
ペーパーロールサンダーが届かない箇所に使う先端ビット
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時短の下地研磨方法まとめ
- 基本、240番⇒1000番の順番で下地研磨していきます。
当てられる箇所はすべてペーパーロールサンダーで研磨しよう。 - ペーパーロールサンダーがどうしても当たらない箇所には、
ダイヤモンドビット・シリコンポイント・ポリッシュスティック・ラジアルブリッスルディスクなどを使って下地研磨していきます。
フットコントローラーの踏み方に気を付けよう!
足で踏んでリューターの回転数を調節するペダル(フットコントローラー)の踏み方について注意があります。
ペーパーロールサンダーなどの軸が重くなる先端ビットを付けて研磨する場合は、ゆっくりと徐々に回転数を上げていきましょう。
車を運転している方なら、アクセルペダルを少しずつ踏んでいくような感覚です。
誤ってペダルを一気に踏み込むと、急回転した先端ビットが遠心力に耐えきれずに、軸がボキッと折れてしまうことがあります。
一度折れた先端ビットは、直しても軸がブレてしまっているので研磨しづらく使いものになりません。