仕上げの工程と揃えておきたい仕上げ用道具

「地金から作り上げたアクセサリー」や「ワックスから作り上げたキャスト吹き上がり品」を下地研磨処理をしたのち、そのアクセサリーの雰囲気に合う仕上げ研磨を選択して仕上げていきます。

ここでは仕上げの基本的な流れとそこで使われる道具について解説しています。

ここで紹介している道具は、各仕上げで必要不可欠な代表的な道具のみを紹介しています。 他の用意してもらいたい道具については、各コンテンツ毎で詳しく説明しています。

 

キャスト吹き上がり品を仕上げる

step
1
湯口をとる

金属を流し込んだ湯道のカット部分(湯口)を研磨していきます。
鉄工ヤスリ(中目)やダイヤモンドヤスリ、リューター用の砥石ビットなどを使ってデザイン表面部分ギリギリまで削っていこう。

鉄工ヤスリ

地金&WAX兼用

ザックリと削りたいときに便利な粗目の大きなヤスリ。
粗目なのでワックスを削りたいときにも使えます。
安価な鉄工ヤスリで研磨スキルを磨いたら、職人さんが一つ一つ丹念に仕上げた手切りヤスリにランクアップしよう。

曲面をザックリと削りたい時に便利な半丸ヤスリ。
精密ヤスリ(小)以外で、大・中の大きさのものを用意しておくとデザインによって使い分けができて便利です。

切削ビット【砥石】

地金用

湯口を取る時など、地金をザックリと素早く研磨したい時や、そのほか、タガネを加工する時にも使用します。
100均の工具コーナーでも手に入れられます。

ダイヤモンドヤスリ

地金&WAX兼用

細かいパーツをサクサク削りたいときに便利。
平、甲丸、丸、四角、三角のこの5種類の形を手に入れよう。
大きさも色々あるので、大・小のものを持っていれば、デザインに合わせて使い分けができて便利です。
100均のものでも十分代用できます。

step
2
全体を下地研磨する

次に、リューターに研磨用先端工具であるペーパーロールサンダーなどを付けて、全体を研磨していきます。
目が粗い#240で形の成形をおこない、#1000で#240の研磨キズを消していくと、下地処理が完了となります。

ペーパーロールサンダー 【#240/#1000】

地金用

リューターにつける研磨用先端工具。
紙ヤスリが軸に巻きつけてあり、削れなくなってきたらペーパーを1周ぐるっと剥いて使います。
#120・#240・#320・#400・#600・#800・#1000と番手が大きくなるほど、粗さは細かくなっていきます。
目が粗いもので形の成形をおこない、目の細かいもので小キズを消して鏡面仕上げの下仕上げまですすめていきます。

リューター

step
3
仕上げ研磨する

【パターン1】鏡面仕上げ

#1000まで磨いた地金表面を、リューターに取り付けたバフで磨きます。
バフ粉をたっぷりと付けて、鏡面になるまで磨いていきましょう。

セーム皮バフ【軸なし】

地金用

セーム皮で出来た豆バフです。サイズ:Φ20
マンドレール(軸棒)にセットして、バフ粉(研磨剤)を含ませて鏡面仕上げしていきます。

マンドレール

地金用

豆バフやラジアルブリッスルディスクなどのホイール型工具をリューターに取り付けて使用する固定補助ビット。

バフ粉(ポリアートゴールデン)

地金用

名称:BSポリアート7000/ポリアートゴールデン
銀・ゴールド・プラチナとオールマイティに使える超光沢仕上げ用研磨剤です。

スムス手袋

地金&WAX兼用

バフがけや検品時にアクセに指紋跡をつけないようにするために使う手袋。
特にバフがけはアクセが100℃近くまで熱を持つので、ヤケド対策のためにもこいつは欠かせない。
100均のカーアクセサリーコーナーにある運転用手袋に代用できるものがあります。

マチ無し/12双組 サイズはS・M・L

【パターン2】つや消し仕上げ

【パターン3】いぶし仕上げ

#1000まで磨いた地金表面に、つや消し用の先端工具をリューターに取り付け、好みのつや消し具合になるまで磨いていきます。

スコッチミゼットバフ【粗目・中目・細目】

地金用

タンポポバフとも言います。
つや消し仕上げ(ヘアライン仕上げ、サテン仕上げ)の時に使うリューター用先端ビット。
地金表面にミゼットバフの側面を当て、一定方向に撫でることで方向性のある短い筋目を入れ、艶消し面に仕上げることができます。

粗さは、#240~300(粗目)赤、#320~400(中目)灰、#600~800(細目)黒 の3種類。
粗さにより、風合いが変わります。

地金用

3種類の中で中間の粗さ。

地金用

3種類の中で一番細かい目の粗さ。

いぶし液

地金用

シルバーアクセサリーをいぶし仕上げする時に使ういぶし液。
熱いお湯にこいつを少量入れてシルバーアクセサリーを漬け込むことで、シルバーが硫化反応を起こして表面が黒く変色します。

【パターン4】古美仕上げ

【パターン5】ザラピカ仕上げ

ワイヤーブラシ【真鍮】

地金用

真鍮のワイヤーブラシで地金の表面をわざと荒らして、アンティーク調の雰囲気を作り出します。
他にもヤスリに詰まった地金やWAXの削りクズを取り除く時にも使います。
100均にもあります。

ダイヤモンドビット

地金用

工業用ダイヤモンドを散りばめたリューター用先端ビット。
軸径が2.35mmと3.0mm用があり、2.35mmを選ぼう。
円柱・円錐・球・針などの様々な形や大きさのものが揃っている多形状セットを手に入れよう。
ザラザラの表面研磨に仕上げることができます。

【パターン6】白仕上げ

【パターン7】ナナコ彫り仕上げ

球ぐり工具/ナナコ

地金用
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ハンドルとナナコのセット(12本組または23本組があります。)
石留めやミル打ち、ナナコ彫り、半球などの加工に使用します。
ナナコの大きさは、
0/1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11/12/13/14/15/16/17/18/19/20/21/22(23本セット)
2/4/6/7/8/9/10/11/12/13/14/16(12本セット)
大きさ毎に単品でも購入でき、ナナコの大きさはNo.0(直径0.25mm)から0.05刻みにNo.22(1.35mm)の大きさまで、計23本となります。

ディクセル/ピックリングコンパウンド

地金用

コップ1杯(約180cc)の水に対して大さじ4杯ほど入れて、ディクセル水を作ります。
そして、酸化したシルバーの表面をこの水溶液に浸し、酸洗いします。(酸洗いすると地金表面が白くなります。)

昔は酸洗いに希硫酸を使っていたのですが劇薬ということもあり、お子さまなどがいる家庭を作業場として使う方の安全性を考慮に入れて、ここではディクセルを推奨しています。

step
4
超音波洗浄する

仕上げ研磨でこびりついたバフカスや研磨材の残りを高い周波数で液体を振動させ、無数に発生した気泡によって短時間できれいに汚れを落とします。

この無数の真空状態の泡が割れた瞬間に起きる衝撃波によって、アクセサリーに付着した汚れが取り除けるのです。

アクセサリー洗浄用の超音波洗浄機としては、周波数40kHz以上のものが理想です。

超音波洗浄機

地金用

必須機能としては、振動数が強力なもので、ヒーターが付いているもの。

ボクが使っている超音波洗浄機「US-1KS 」は、株式会社エスエヌディが販売元の日本製のものですが、その分ちょっとお高いのがネック。

海外製のものを選択する場合は、超音波周波数28kHz相当かそれ以上のものを選びましょう。
価格の安い周波数が低いものはジュエリーの洗浄としては使い物になりませんのでご注意を。

コスパ最高の超音波洗浄機がこれ!

超音波洗浄機の使用用途とは? ボクが持っている日本製のUS-1KSはちょっとお高いので、この超音波洗浄機と同等の性能・機能・サイズの製品を探したところ、良いものが見つかったので紹介します。 日本製にこ ...

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値段が値段なので、始めから揃える必要はありませんが、作ったアクセを販売するのであれば必須となる機材です。

バフカス洗浄液

地金用

バフかすを落としやすくするために超音波洗浄機に入れる洗浄液。
水に10倍~20倍に薄まる量の洗浄液を入れて使います。

超音波洗浄機用フック/タコ足

地金用

超音波洗浄したいアクセを洗浄機槽内に触れないよう固定するための道具です。
タコの足ような形をしているので「タコ足」と呼ばれています。

超音波洗浄機のセッティングおよび使い方

超音波洗浄器内に記された「ここまで水を入れるライン」まで水を入れます。

次にその水に洗浄液を入れます。(目安は10倍~20倍に薄まる量です。)

ヒーターを50℃にセットして、水を温めます。

50℃近くまで温まったら、洗浄機に洗浄カゴや洗浄フックをかけてアクセサリーを洗浄していきます。
(洗浄時間は汚れ度合いによりますが、大体3分ほどを目安に確認してみてください。)

洗浄したら水洗いします。

柔らかいタオルを敷いたトレイにアクセサリーを置き、アクセサリーに付いた水滴をタオルで軽くおさえるように拭き取り、自然乾燥またはドライヤーで乾燥させたら完了です。
(水滴を綺麗に拭き取らないで乾燥させると、その部分が白く濁ってしまいます。)

鏡面仕上げしたシルバーアクセサリーを超音波にかけると、たまに白く濁ったような表面になることがある。
そうなってしまったら、その部分をもう一度バフをかけ⇒超音波とやり直す必要がある。

水に弱いまたは硬度が低い・クラックがあるような宝石が留めてあるものは超音波はかけないで仕上げとなる。

いぶし仕上げのアクセサリーは水を温めずに、サッとくぐらせる程度で終わり。
洗浄しすぎるといぶしが剥がれてしまうので気をつけよう。