この彫金レベル1のかけらでは、初めて手作りアクセサリーを作ろうと試みている初心者に、ロストワックスでよく使われている材料についての知識を伝えようと思う。
ロストワックスの材料には、カタチや色など様々な種類のものがあり、これから作りたいと思っているアクセデザインには、一体どのタイプのものを使えばいいのか、迷っていることだろう。
そんなあなたでも、ここで材料の特徴を学ぶことで、作りたいデザインに合わせてもっとも効率良く作業できる材料が選べるようになるだろう。
ロストワックス製法でアクセサリーを作る上での基礎知識となるので、ぜひ覚えてほしいと思う。
ワックスの種類と特徴を知る
ロストワックス製法でワックス原型を作る際に使う材料を、”ワックス"と言います。
このワックスには、「ハードワックス」と「ソフトワックス」の基本この2種類に分かれていて、それぞれ形状や硬さなどでさらに分けられています。
ハードワックス
ロウソクに似た硬さの塊で、爪で表面をこするだけでキズがつくぐらいの硬さのものです。
基本3種類の硬さに分かれていて、それぞれの融点(溶ける温度)は、
融点
- 104.5℃(ブルー)
- 110.0℃(パープル)
- 115.6℃(グリーン)
と色分けされています。
この塊を、彫刻を彫るように削り落としていき、あなたが思い描いたアクセサリーデザインにしていきます。
形状は、
形状
- ブロックワックス
- スライスワックス
- チューブワックス
があります。
どの色のワックスを使えばいいのか?
ワックスを使った手作りアクセサリーを初めて作るあなたには、一体どの色のワックスを使えばいいのか迷ってしまうことでしょう。
ブルー、パープル、グリーンとそれぞれ特徴の違いを知ることで、あなたが使ってみたいワックスが分かるはずです。
グリーン
3つの中で一番硬いワックスで、エッジのあるシャープなものを作るのに一番適しています。
柔軟性はあまりないので扱いに慣れていないと、繊細なデザインのものなどはすぐにポキッポキッと折ってしまうでしょう。
ワックスを溶かしてする作業は、3つのワックスの中では一番扱いやすい。
粘り気も無くサラっと溶けてくれるので、溶けたワックス同士のなじみが良く、盛り付けや修正が綺麗に仕上がります。
造形的な3Dデザインのものを作るのに適したワックスです。
パープル
硬さや柔軟性は、グリーンとブルーの中間ぐらい。
イマイチ使う用途に困ってしまう。
どうしてもグリーンを扱うのが難しいのなら、こちらを使うのもありなのかな。
ブルー
3つのハードワックスの中では、一番柔らかいワックスになります。
粘り気が強く、ある程度負荷をかけても、すぐには折れずに曲がって耐えてくれる柔軟性があるので、ワックスに触りなれていない初心者さんが使うといいでしょう。
ちなみにボクは、石を留める爪など、繊細で折れそうなデザイン部分にはブルーを使ったりしています。
しかし、盛り付けや修正などのワックスを溶かしてする作業では、3つの中では逆に一番扱いづらくなります。
粘り気が強い分、溶かしたワックスをすくう時に糸が引くようにワックスが伸びて固まったりするので、盛り付けや修正作業がやりづらいです。
ココがポイント
ワックスの扱いで技術が必要とされるのは、じつは削るよりも盛り付けや修正なんです。
なので、造形的な3Dデザインのアクセサリーを作れるようになるためには、盛り付けや修正がやりやすいグリーンを使うのがベスト。
ワックスの扱いに慣れてくれば、ワックスを折る頻度は少なくなり、万が一折れたとしてもグリーンなら修正しやすいですからね。
何を作るかで形状を選ぼう!
元々の売られている形状がいくつかあります。
作りたいデザインに合わせて、なるべく手間がかからない形状のものを選びます。
それぞれの形状のものをどんな時に使うのか見ていきましょう。
ブロックワックス
四角いブロック型のハードワックスで、こいつを好きな形状に切り取って使います。
硬さは、ブルー、パープル、グリーンの3種類から選べます。
指輪以外の厚みがあるものや大物のアクセサリー・オブジェを作る時にはこいつを使おう。
スライスワックス
ブロックワックスをスライスしたハードワックス。
1ポンド(450g)BOXを5種類ほどの厚みに分けてあります。
作りたいデザインの厚みによって使い分けることで、作業時間の短縮ができるぞ。
硬さは、ブルー、パープル、グリーンの3種類から選べます。
チューブワックス
指輪を作る時に使うハードワックス。
形状は穴が開いているタイプの真円(2種類)・穴ズレ(1種類)・印台(3種類)・穴なし(1種類)があります。
硬さは、ブルー、パープル、グリーンの3種類から選べます。
穴が約8号の大きさなので、それ以上のサイズの指輪を作る場合は「穴あきタイプ」を使い、8号に満たないサイズのものは「穴なしタイプ」に穴を開けて希望の号数にしていきます。
8号以上は穴あき、8号未満は穴なしと覚えておきましょう。
作りたい指輪のデザインに合わせてタイプを選んでいきます。
真円タイプ
シンプルなデザインの指輪を作るときに使います。
穴ズレタイプ
トップに厚みをもたせたデザインの指輪を作る時に使います。
印台タイプ
スカルリングなど、ボリュームのある凹凸の造形的なデザインリングを作る時に使います。
穴なしタイプ
ピンキーリングやベビーリング、リング状のペンダントップなど、8号よりも小さいサイズのリングを作る場合はこれに穴を開けて使います。
ソフトワックス
手の熱で簡単に曲げることができるほどの、とても柔らかいワックスです。
ハードワックスは基本、削って形にしていきますが、ソフトワックスは切り取って形にしていく作業がメインになります。
しかし逆にその柔らかさのために、軽く負荷を掛けただけで形が崩れたり、爪が当たっただけでキズが付いてしまうので扱いに注意が必要です。
融点が59℃とハードワックスに比べて半分ほども低く、盛り付けや修正などハードワックスの時よりもワックスペンの扱いが難しくなります。
シートワックス
最大3mmまでと色々な厚さがあるシート状のソフトワックス。
融点(溶ける温度)は、59℃
使用例としては、花びら型に切り取って重ね合わせてお花のデザインを作ることができる。
ワイヤーワックス(スプルーワックス)
色々な太さや、丸線・甲丸線・角線などの種類がある棒状のソフトワックス。
融点(溶ける温度)は、59℃
使用例としては、石留め用の爪パーツとして使用したり、ねじり線を作ってリングやペンダントトップのデザインパーツとして使ったりもできます。
これで作りたいデザインに合わせて作業効率の良いワックスの種類を選ぶことができるはずだ。
盛り付けやすさと削りやすさを考えると、やはりグリーンのハードワックスを中心に使うのがベスト。
折れにくいからと、なんとなくブルーを使っていたあなたも、今からでも遅くはない。
ワックスペンのスキルアップのためにも、グリーンで彫ることをおすすめする。
タイプの違うワックスを混ぜ合わせて、オリジナルの配合のワックスを作り出すこともできるが、凝り性の人は特に気をつけてほしい。
盛り付けしやすい配合を考えることよりも、なんでも彫れて盛り付けできるぐらいまでスキルを上達させる方が先だからね。
揃えておきたいワックス5選
【スライスワックス 1ポンド グリーン】
ブロックワックスをスライスしたハードワックスです。
ペンダントトップやピアス、パーツなどのデザインを彫る時に使うワックスです。
【チューブワックス T-1062 グリーン】
8号以上のリングを作る時に使う穴が真円タイプのワックスです。
【チューブワックス T-200 グリーン】
スカルデザインなどの造形リングを作る時に使う印台タイプのワックスです。
【チューブワックス B-1062 グリーン】
8号未満のリングを作る時に使う穴なしタイプのワックスです。
【ワイヤーワックス 丸線 0.7mm&1.0mm】
爪を立てる時やねじれ線などのデザインなどに使う丸線タイプのワックスです。